有馬記念に全てを賭ける⑥
2021年夏現在
コロナ禍
僕の収入はコロナ前の5分の1ほどになっていた。
(狭い業界なので、特定を避けるために職種は伏せさせていただきます)
飲食業や観光業の方々ほどではないのかもしれないが、限界が近づいてきていることをヒリヒリと肌で感じている。
こんなに小さい業界には、補償など出るわけもない。
首相や都知事の言葉が遠回しな死刑宣告のように、
まるで大きな
聞こえてくる。
もちろん医療従事者や保健所の方々、何より重症化してしまった方など、僕よりずっと大変な思いをしている人は大勢いるはず。
そうわかっていても、ちょっとした弾みで心が限界を迎えそうで、そこに恐怖を感じている。
あの有馬記念の当時も、ここまでではなかったが、将来に対する抑えようのない不安は、こんな感じだったように思う。
あれは就職氷河期のどん底で、どれだけがんばっても面接にすらこぎつけないことが多かった。
大企業は声を揃えて 「本年度採用見送り」
やっとセミナーに参加できたとしても、何百人と集まるスーツ姿に対し、採用は若干名。
とても意味のある行動には思えず、ほとんど投げやりだった。
そんな時「諦めない」の代名詞のような馬を見た。
「テイオーのように」とまではいかないまでも、さすがの僕も
(諦めちゃだめなんだ。がんばらなきゃ)
何をどうがんばったのか、よく覚えていないが、インターネットなどない時代にとにかく手と足を酷使してがんばった。
そして・・就職という形ではなくなったが、僕は自分のやりたいことを見つけて、その勉強から始めることにした。
あの時、テイオーが教えてくれなかったら、今でも僕は
・・・フリーターにでもなってたのかな?
心に刺さったあのセリフ
「奇跡は起きます それを望み奮起する者の元に 必ずきっと」
まるで自分に言われているようだった。
このコロナ禍の昨今、ことあるごとに考えていながら、忘れていたことが
そうだった。僕はこの病気の蔓延が落ち着いたら奇跡を起こすんだった。
「コロナ前の仕事に戻る」
仕事量は激減、もう仕事と呼べるのかさえあやしいが、元々好きで始めたこと。
好きなことでも、仕事となればその9割は嫌なことや大変なことである。
(もうそんな思いをしなくてもいいか)
「引退」などと安易な考えをしたこともある。
返り咲くとなれば、1つや2つの奇跡じゃ足りないであろうこともわかっている。
それでも
20年以上の時を経て、こんな僕にまた君たちが教えに来てくれたんだね。
いろいろがんばらないとな。
まずは手始めに少しだけデイリーがこなせるようがんばってみようと思った。